Maintenance Report #3
2021.01.14
REPAIR

Maintenance Report #3

先日オーバーホールのご依頼でお預かりした時計について少々。その時計は1940年代頃の手巻きモデルで、最もスタンダードなスモールセコンド仕様のものでした。我々の感覚では特別古いわけではありませんが、今からすでに70年ほど経っているものなので、まぁ十分古いですねぇ。

店頭でお預かりする際にざっと内部のムーヴメントの状態をチェックさせていただきましたが、すぐ異常に気付きました。歩度調整するための緩急針が思いっきり遅らせる方向にセットされているのにウィッチのテスターで動作を確認してみると激しく進む状態になっています。ヒゲゼンマイを見るとどうもおかしい。状態が悪いだけではなくて、ヒゲゼンマイそのものにも違和感がありました。これまでたくさん取り扱ってきているモデルだった事もあり、すぐなんか変だなぁと感じました。心臓部であるテンプ周りがおかしいとなるとちょっと厄介かも知れません。


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オーバーホールを進めるべく、いざ作業に入ってみると天真の状態も悪くて、片方の先端が激しく摩耗していました。こうなると最低でも天真の交換は必須です。さらに状態を詳しく確認してみると進みが生じる直接的な原因は前述のヒゲゼンマイでした。全体的に短くて渦を巻いている数も少なく、そのために極端に進む状態だったのです。







IMG_6863.jpegなぜそのような状態だったのかはかなり謎ですが、さすがにこのままでは正常な本来の動作は望めません。天真だけの問題ではありませんので、どうしようかと思いましたが、手元にある修理用の中古ムーヴメントを探してみると幸運にもストックしている中に同じモデルの状態良好なものが見つかりました。結局テンプ一式を丸ごと交換する方法で対処する事にしました。







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今回はたまたま部品があったので、スムースに作業を終える事が出来ましたが、手持ちのパーツがなければ時間をかけて探さなければならない事もありますし、そうなるとすぐ入手出来ないかも知れません。あるいはこれがもっと特殊なモデルだったら、探したところでどうにも出来ない可能性だってあります。







テンプ周辺に問題がありましたが、それ以外は特に難儀する事もなかった事が救いです。最後は絶好調になりました。状態良好できちんと整備されていたとしても多少は不具合が発生する可能性もありますので、やはりコンディションは重要ですね。是非大切にお使いいただきたいと思います。



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