C O L U M N
|
このページはホロル・インターナショナル店長の個人的主観によって作られるページで、不定期に更新されます。ご覧になった皆様のご意見、ご感想、ご質問等ございましたらEメールにてご遠慮なくお寄せ下さい。
第6回「収集方法」(6/18/1999)
いつのまにか梅雨になってしまいました。このページを更新するのも随分しばらく振りです。何かと忙しく、やる暇がありませんでした。本当は面倒で今ひとつやる気が起きなかっただけです。新入荷商品の更新だけでも案外大変で、いろいろとやってみたい事はあるのですが、なかなか思った通りには出来ませんでした。
それにしてもまったく時間が経つのはあっという間で、このホームページも開設から早くもおよそ6ヶ月が過ぎようとしています。頻繁に沢山の方々から探し物や修理のご相談などに関するお問い合わせなどを頂戴しています。当ホームページがきっかけでお出かけ下さったというお客様にもずいぶんとご来店いただきました。総ヒット数も相当な数になり、大変驚いています。当初考えていた以上に大勢の方々にご覧いただいている事が分かり、感謝、感激です。現状を維持しながらも改善すべき点があれば、いろいろと工夫をしてみてそのうちにちょっと変わった企画も考えてみたいと思います。
アンティークウオッチの魅力に取りつかれてくると、それらのひとつひとつがとても個性的である事が実感出来るようになります。どれもが一見ただの古い腕時計でしかないのですが、各ブランドごとの強い主張が感じられます。また、年代ごとの流行が色濃く出ているのも腕時計の魅力のひとつだと思われます。例えば、1940年代頃まではやや小振りな大きさのケースを用いたモデルが多く、文字盤もアラビア数字の入ったデザインが多く、パターンは様々でも大体そういった傾向が強いものです。時計も工業製品らしく流行のスタイルがいつの時代もあるのでしょう。1960年代の後半から1970年代にかけての腕時計は両極端な印象を受けます。その頃はケースの薄型化を各社が競い、ドレスウオッチ化が進む一方でオメガのフライトマスターなどのようにやたらと巨大なケースで派手な色使いやデザインのモデルなども多く存在している面白い時代です。ある程度の流行を取り入れながらも各ブランドなりに消化した上で時計を製造していたから、現在でも色褪せる事のない魅力ある時計が作れたのではないでしょうか。
普段からいろいろなお客様にお会いします。そして、話をしているうちに皆さんそれぞれの価値観に従った時計の集め方をしているのが良く分かります。ある特定のブランドやさらにその中でも特定のモデルを限定して集めていて、その他の時計にはまったく見向きもしない人もいれば、その反対に何にでも興味を持っていて気が多い人もいます。本当に集め方にも個性が表れるものだと思います。中には機械にこだわっている方も多く、もちろんデザインが気に入らなければわざわざ買ったりはしないと思いますが、ムーブメントの機構だとかに重点を置いているお客様もいます。他にも文字盤のデザインや色、スクリュウバックの防水ケース、手巻き、自動巻き、ブレスレット付き、クロノグラフ、軍用、国産・・・などどなたも各好みのテーマに基づいた収集をされています。
私も個人的に好きな路線があります。例えば、ステップドベゼルのケースだとか、アラビア数字の夜光インデックスの時計がそうだったりします。シンプルなバーインデックスも良いのですが、文字盤に数字が入っているデザインをどうも好むようです。いつもよく使う時計は使い勝手も良く、それほど年式の古くない自動巻きタイプが多くなりますが、前述のようなアンティークらしいものが個人的に好みです。やはり、時計と付き合っていく中で大事なのはその時計を持つ事によってどれくらい自己満足に浸れるか、という事に限ると思いますので、いかに自分なりの視点を持って面白い集め方が出来るかがポイントになるのではないでしょうか。
第5回「買い時とは」(4/23/1999)
寒い冬が終わりを迎え、過ごしやすい大変いい季節になってきました。しかし、急に気候が変わってきたので、なんだか調子が狂ってしまいます。意外とこういう時期に風邪をひいてしまったりする事もあるようなので、皆様も健康には十分お気をつけ下さい。
買い物をする際には何にでも当てはまる事だと思いますが、「一体いつが買い時なのか」という問題は案外難しく、かなりの決断力が要求されるのではないでしょうか。例えば、現在皆様がお使いのパソコンやその周辺機器の世界などはまさしく日進月歩で、次から次へとグレードアップした新機種が登場してきます。ついこの間まで最高のクオリティーを誇った最新機種があっという間に型遅れの旧モデルになってしまうのです。どこかで踏ん切りをつけ、決断を下さないといつまで経っても希望の物を手に入れる事は出来ないのです。余談ですが、弊店でもデジタルカメラを導入しようかと検討中で、現在は下調べの段階でカタログなどを見ています。しかし、どのようなタイプが良いのか今ひとつ分かりません。
アンティーク時計の場合はどうでしょうか。比較的流通量が多いモデルだったとしても新品ではない以上、どの時計も一点物であると言えます。もちろん個々のコンディションは違いますし、大体の相場は形成されているものの、価格も一定ではありません。とにかく「またこの次買えばいい」などという考えが通らない事も多いのが厄介なところです。つまり、どうするか迷ってしまったせいで、ちょっと決断が遅れただけでも一生その時計とはお目に掛れなくなる可能性が高いのです。いずれにしても、なるべく早めに購入するか否かを決めなくてはなりません。
そうなると単純に「本当に欲しいのかどうか」が大変重要になってくるのではないでしょうか。狙っていたモデルや一目で気に入ってしまう時計に出会った場合に、もし自分自身の中でゴーサインが出ているのであれば、せっかくのチャンスを逃さない様に判断するべきです。しかし、無理をする必要はありませんので、少しは時間をかけて検討するのも必要ですが、下手にじっくり考えていると他の人が購入してしまう恐れもあります。いろいろなお客様からこんな話をよく聞きます。ある時、探していた好みの時計に出くわし、ほとんど買うつもりでいたものの、明日買いに来ようとその日はそのままニヤニヤしながら帰宅します。翌日やや興奮気味でそのお店へ行ってみるとその時計はもう既に売れてしまっていた・・・。結果ほんのわずかに躊躇してしまったために憧れの時計を逃してしまう。こういったエピソードはアンティーク時計に限った事ではありませんが、大抵の人が経験しているのではないでしょうか。当然私にも覚えがあります。つくづく世の中は縁が支配しているのだと思います。人との出会いをはじめ、モノとの出会いも目に見えない「縁」というものがあって成り立っているようです。
実際に販売する側の立場から申し上げると時々この反対の出来事が本当に起こります。あるお客様がある時計を手に取ってご覧になって、2〜3日だけ検討すると言って店をあとにします。どういうわけかそのすぐ後に来店した別のお客様が同じ物を見て即決し、買っていってしまう。あくる日、その時先に来たお客様がまた来店し、いざ購入しようとするが、その時は既にその時計は他の人の手元に・・・などという事もあるのです。大袈裟かも知れませんが、古い時計を買うのは決断力が問われるという点で家電などを買う時と比べるとやはり少々難しいのではないでしょうか。
しかしながら、こういった話は我々にも当てはまります。あるブランドのある特定のモデルで、ほぼ同じようなコンディションのものに比較的よくお目に掛かっていたとします。よく見かけるし、いつでも手に入れられるなどと考えていると大間違いで、それ以後ちっとも出てこなくなる。つまり、いざ仕入れたいと思った時にはまるでチャンスもなく、それっきりになってしまう事もあるのです。そういう意味では結局我々もお客様と全く一緒なのです。しかし、一体いつが買い時なのでしょうか?最終的には本当にそれが必要だと感じた時、あるいは単純にどうしても手に入れたいと思った時がいわゆる「買い時」という事になるのでしょう。皆様にはなるべく後悔の伴わない買い方をしていただきたいものです。それにしても前述のデジタルカメラの件ですが、やはり迷ってしまいます。最近やたら200万画素だとか言われてますが、使った事のない人間にはよく分かりません。もうちょっと待ってみた方がいいのか、はたまた今が買いなのか・・・。悩みます。一体いつが買い時なのでしょうか?
第4回「ロンジンについて」(3/30/1999)
年度末で何かと仕事がお忙しい方が多いとは思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。世間が忙しい分、我々にとっては比較的忙しくない時期のような気がします。とんでもない平成大不況の真っ只中の今だって、必ず毎年この季節になるとちゃんと桜は咲くものです。週末にはお花見の予定を組んでいるという方も多いのではないでしょうか。不景気な世の中で、完全失業率が過去最低を記録したとか、そんな事ばかりで他にいい話題も少ないですが、春は変化の季節ですし、何とか明るくやっていくためにも桜を眺めながら飲んで大騒ぎするのも悪くないと思います。ちなみに私も夜桜で盛り上がるつもりです。
さて、今回はロンジンについて少々お話してみたいと思います。現在トップページでクロノグラフのムーブメントの画像がご覧いただけるようになっていますので、ちょうどいい機会だと思いました。ロンジンというブランドは、前身である「アガシ」時代を含めて結構な長い歴史を持つ超一流メーカーで、私個人の好きなブランドのひとつに挙げられます。理由はいくつかあるのですが、簡単に申し上げると1950年代頃までのロンジンは非常に確実なしっかりとした作りをしている印象を受けるからです。
よく「自社製ムーブメント」なる言葉が使われますが、その言葉通りかつてのロンジンも一貫した製品作りをしていたようです。シンプルな3針のモデルからクロノグラフまで幅広く生産していました。特にクロノグラフの分野ではワンランク上の評価を受けているのは言うまでもありません。他のブランドとは異なる位置づけになり、別格であると言っていいでしょう。モバードもクロノグラフに関しては同様の評価を得ている様に感じますが、両者はまったく違う個性を持っています。どちらかと言うとモバードの方がクセがあります。ロンジン製のものは実に美しい仕上げが細部まで施されており、この仕上げの凝り様は他のブランドによく見受けられるクロノグラフの機械には皆無です。また、フライバック機能を持っているという点も忘れてはいけません。これも同様に他社のモデルにはあまりない機構です。他のムーブメントを搭載したモデルと見比べると、とにかく凝っていて、時間をかけて作られているのが良く分かります。残念な事に年代物のロンジンのクロノグラフでコンディションの優れたものは滅多にお目に掛かれません。弊店でもここしばらく取り扱うチャンスがありません。
これも有名な話ですが、1940年前後までのロンジンは何とケースとムーブメントに刻まれているシリアルナンバーが共通しています。ちょっと考えてみるとこれは物凄い事だと分かります。量産体制で作られていく時計のケースとムーブメントに同じ番号の刻印入れる必要性はないと思いますが、その頃のロンジンはそれをわざわざやっていたのです。どう考えても面倒としか言いようがない事をあえて続けていたのです。もちろん途中でやめていますが、その辺りも当時のロンジンの社風とでも呼ぶべきこだわりが十分に感じられます。ケースの質感の高さについても付け加えておきたいと思います。概して年代物のアンティーク時計には現代の物にはない凝った部分があるものですが、ロンジンの場合はそれが特に顕著だと感じられます。しかし、現在の市場ではクロノグラフ以外は意外と評価が低く、それほど高くない相場になっている場合も少なくありません。つまり、一般的に価格が低いわりに物が良いと言う事は、それだけお得であると言えそうです。
アンティークの時計は現行品との相乗効果で初めて人気と言う形で評価が決まります。個人的な意見を申し上げると現在のロンジンの時計は残念ながらそれほど魅力ある時計には思えません。過去に作られたものと現在のものを比較するのもおかしな話ですが、いまどきのロンジンには少々がっかりしてしまいます。このようになったのには当然理由があったはずで、あくまで私の想像ですが、1960年代のスイス時計産業の激しい競争を経験し、さらにクォーツ時計の登場などがあったおかげでそれまでのこだわりに徹した経営体制ではいられなくなったのだと考えます。
かなりのこだわりメーカーだったにも関わらず、妙な柔軟性も持つようになり、1960年代の途中から急にリベラルなブランドへと変化していったようです。薄型のドレスウオッチが全盛の頃にはその類の時計を沢山世に送り出しいながらも、1960年代頃までは自社製の"Cal.30CH"を搭載したクロノグラフも作っていました。この辺が最後のこだわりだったのだと思います。ちなみに頑固で保守的なブランドだったロンジンも、一部で人気の高い「コメット」なるモデルやその他にもユニークな液晶のデジタル時計なんかも出しています。そうやって新しい流行も取り入れ、様々な変化を遂げて現在に至るのでしょうが、やはり今のロンジンには物足りなさを隠せません。特にそれほど期待はしていませんが、今のロンジンにも1930年代頃のモデルが持つ、かつての様なこだわりぶりを我々に見せつけていただきたい。
前のページに戻る
|
|
|