グリュエンの代表的モデル「カーベックス」をご紹介致します。搭載されるムーヴメントをはじめデザイン面でも様々なタイプがあり、そのバリエーションの豊富さも魅力ですが、共通しているのは手首の形状に沿うようにケースがカーブしている点、さらにそのケース同様ムーヴメント自体もカーブしている点が最大の特徴です。

14Kイエローゴールド製のケースはスナップバック。使用に伴う細かなスレなどはあるものの大きなダメージはなく、全体的に大変コンディション良好です。最も気になる文字盤はブレゲ数字がレイアウトされ、ツートーンになっているところがポイント。雰囲気たっぷりの文字盤には目立つような傷みはなく、十分な状態が保たれていますが、ブレゲ針との組み合わせはかなりの存在感です。リュウズのみ交換されているようですが、サイズや質感の面で大きな違和感を与える事はありません。ベルトの取り付け部分の幅は14mm。当時のオリジナルではありませんが、年代的に近そうな未使用で状態の良い革ベルトを装着しています。

ムーヴメントは1930年代後半に登場したCal.330を搭載。シンプルなスモールセコンド仕様の角型モデルではありますが、前述のようにムーヴメントそのものがカーブしたケースにフィットするよう設計されている点が特徴です。元来なにかと制限のある角型ムーヴメントですが、それをさらに大変な手間をかけて地板やブリッジ全体が反り返ったような形状にしています。年代物ならではの質感の良さが伝わってくる仕上げが魅力ではないでしょうか。ケースや文字盤と同様、ムーヴメントもコンディション良好。非防水の古い角型時計ゆえに少々デリケートではありますが、唯一無二の存在感が魅力の一本。