今もなお積極的にムーヴメント開発を行い、個性的なモデルを数多く世に送り出しているスイスを代表する一流時計メゾンのひとつ｢ジャガー・ルクルト｣ですが、これは現在よりも独創的で、かつユニークな時計を手がけていた時代のもの。いわゆる｢半回転式｣の自動巻きムーヴメントを搭載しています。

ジャガーが製造したハーフローター方式のオートマチックの最初期モデルに該当するのがこのムーヴメントで、本商品に搭載されるムーブメントのブリッジには"12A"という刻印があります。詳細は不明ですが、恐らく"Cal.476"の初期のものにはこのように表記されるモデルがあったのではないかと推測されます。初期の自動巻きゆえなのでしょうか、全体的にかなり高さを持たせた設計になっている点が特徴。

個性的なデザインの文字盤は"TURLER"とのダブルネームになっています。全体的に細かな使用傷や文字盤の多少の日焼けなど、それなりに経年変化が見られますが、高いオリジナル性を保っていますし、それも年代物の時計を楽しむ上での醍醐味のひとつではないでしょうか。後の全回転方式よりは巻き上げ効率が悪い点は弱点かも知れませんが、本商品の調子は良好です。他のどのブランドよりも半回転方式を長く採用し続けたジャガー・ルクルトの原点というべきモデルとして大変貴重ではないでしょうか。