ワイラーの手がけたユニークな簡易式クロノグラフをご紹介致します。積算機能を持たないため、正確にはクロノグラフとは呼べないかも知れませんし、ロンジンの同じようなモデルに倣って「ストップセコンド」と呼んでも良いのかどうか分かりませんが、大変レアでユニークな一本です。

ステンレススチール製のケースは防水型に該当しますが、いわゆるスクリュウバック仕様ではなく、オメガのダイナミックなどと同じように風防を外し、ジョイント式の巻芯を取り外すと表側からムーヴメントを取り出せる構造で、比較的簡単な作りのため決して気密性が高いとは言えません。軽くポリッシュされている他、全体的に使用感がありますが、コンディションは十分ではないでしょうか。気になる文字盤はうっすらと退色している程度で、自然な風合いが感じられます。

特徴のある手巻き式ムーヴメントはETA製のベーシックキャリバーを搭載しており、センターセコンドの一般的なムーヴメントをベースに改良されているような仕組みで、大変興味深い構造になっています。センター針は常に動いていますが、2時位置のプッシュボタンを押している間は一時的に動きをストップさせる事が出来ます。さらに4時位置のボタンを押す事で12時位置にリセットさせ、再スタートさせる事が可能。「インカフレックス」と呼ばれる天輪自体が衝撃を和らげるワイラー社独自の耐震機構を採用している点もポイント。小ぶりながら存在感あるルックスが魅力です。

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